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● 「下山の思想」
● 下山の思想との戦い
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/03/11 09:18
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/03/11/2012031100131.html
東日本巨大地震:日本に広まる「脱成長論」
「成長に執着せずゆっくり下山」
「丘の上の雲を追い、山を登ってみたが、雲はなかった」
作家の五木寛之氏が書いた随筆集『下山の思想』が、福島第一原子力発電所の事故で衝撃を受けた日本人の心を捕らえ、ベストセラーとなり話題を呼んでいる。
同書籍は、
「成長」から「脱成長」へのパラダイムの転換
を促す内容となっている。
低出産・高齢化を迎えた日本では、
これ以上無理な成長を求めてはならない
というわけだ。
これまで日本は原発を大量に建設するなど成長政策を掲げてきたが、バブルが崩壊して以降の20年間で実質賃金は低下したほか、非正規職も増加し、揚げ句の果てには原発事故という悲劇を招いた。
五木氏は
「頂上に到達すれば、山を降りるのが道理だ。
今後日本は下り坂をいかにうまく下れるかがポイントとなる」
と説く。
『下山の思想』に代表される「脱成長論」は、原発事故をきっかけに政界、財界、言論界などにも拡大し始めている。
昭和大学のスドウ・ノブヒコ教授は
「人類史上、初の被爆国であり“地震多発国”である日本は当初、どの国よりも“放射能コンプレックス”が強かったが、成長のためには電気を大量に安く供給することが必要だという名分にのっとって、原発大国になった。
しかし、今では原発事故をきっかけに、原発に象徴される成長主義に対する懐疑論が広がっている」
と話す。
■経済危機論にも原発の再稼動に対する反発は根強く
福島の原発事故以来、日本の原発54基のうち52基が運転を取りやめている。
4月には定期点検のため残りの2基も稼動を中止する予定だ。
原発事故の恐怖もあって、今後は長い間、再稼動に踏み切らない可能性が高い。
だが、原発の稼動を中止したことで、代替発電のためのLNG(液化天然ガス)や石油の輸入が増加し、日本の貿易赤字は拡大した。
企業向け電気料金は4月から17%上昇する。
企業は
「こんなに電気料金が高いと、工場の稼動を中止するほかなく、輸出はできない」
と原発の早期再稼動を要求している。
しかし、最近行われたNHKの世論調査によると、
原発の再稼動に対し「賛成」(22%)よりも「反対」(36%)の意見が多かった。
枝野幸男・経済産業相は
「原発に対する恐怖心が残っている状況で、果たして原発を再稼動することができるのか」
と問い掛ける。
成長重視の立場を固守してきた政治家と企業家でさえ、原発依存型の成長には反発している。
大阪市の橋下徹市長は
「原発のない世の中というものがどのようなものなのか、試すことができる良いチャンス」
とし、脱原発の立場を明確に表明している。
企業家では、ソフトバンクの孫正義社長やインターネット総合サービス「楽天」の三木谷浩史社長などが脱原発派として知られる。
朝日新聞や毎日新聞なども社説を通じて「脱原発・脱成長」を主張している。
毎日新聞の中島哲夫論説委員は
「原発事故をきっかけに“成長しないとしても、もう少し安全に暮したい”という人々が大幅に増えた」
と説明する。
■輸出の割合は小さく投資による収益は高いという自信
このように脱原発・脱成長論が拡散している背景には、
経済構造に対する日本の自信
も見え隠れする。
日本は輸出大国だというが、実際には
輸出が経済に占める割合はわずか10%台
にすぎない。
輸出を通じた成長よりも内需による市場拡大がむしろ現実的で国民の幸せに寄与する、
といった論理だ。
次期首相候補に挙げられている枝野幸男・経済産業相は
「輸出を通じて成長しようとすれば、価格競争力を確保するために賃金の引き下げは避けられず、企業が成長しても国内の雇用にはつながらない」
と主張する。
枝野氏は政府の予算を医療や福祉、教育、新エネルギーなどに集中投資して、内需産業を育成していかなければならないとの立場だ。
また、膨大な所得収支も脱成長論を裏付けている。
日本は昨年の貿易収支が31年ぶりに「1兆6000億円」の赤字となったのに対し、
海外投資および海外工場の配当金などによる所得収支は「14兆円」の黒字となった。
賃金を低下させ雇用条件を悪化させる輸出中心の成長政策よりは、
「1兆3000億ドル(約105兆円)」に上る莫大な外貨準備高を投資に回すだけでも、国民は十分に幸せになれるというわけだ。
しかし、成長のない福祉や内需市場の拡大はそもそも無意味だとの反論も多い。
慶応大学の竹中平蔵教授は
「成長しなければ、若者の働き口の確保も不可能で、福祉水準も低下するほかない。
脱成長とは皆で貧乏になろうという主張にほかならない」
と断言する。
高齢化により国家負債が急増している中で、企業の競争力低下による貿易赤字までが拡大した場合、国債価格が暴落すると共に金利が急上昇し、結局は日本も不渡りを出すことになると懸念する声もある。
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/03/11 09:09
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/03/11/2012031100101.html
【社説】福島の事故から1年、韓国の原発は安全か
福島第一原子力発電所の事故から1年になる。
この間、韓国の原発21基は、安全性が高まったといえるだろうか。
国民はこの問い掛けに対する答えをいまだに得られていない。
れわれは原子力に替わる代替エネルギーと再生エネルギーの開発に向け、以前より熱心に取り組み、近い将来その成果が出るはずだと期待できるのだろうか。
これに対する答えもやはり「いいえ」だ。
福島第一原発の周辺は地獄のような状況だ。
乳牛は、水を一口飲もうと干上がった水路に落ちてもがき、放射線に被ばくしたペットたちが人けのない道をさまよい、牛や豚の死骸があちこちに横たわって腐敗している。
田畑には背の高さほどに伸びた雑草だけが生い茂っている。
海辺に位置する福島第一原発から半径20キロ以内の地域、628平方キロメートルは立ち入り禁止区域となっている。
ソウル(605平方キロメートル)よりも広い地域がゴーストタウンと化しているのだ。
東京の人々は九州から米を取り寄せ、水道水が怖いためミネラルウォーターを購入して飲む。
原発事故前に製造された缶詰だけを子どもに食べさせるという主婦も多い。
日本政府は、今後10年間の復興費用を23兆円と見積もっている。
世界の原子力発電は、福島原発のような事故が今後二度と起こらないという確信、「ノー・モア・フクシマ」を各国の国民にしっかりと植え付けることができなければ未来がない。
福島の事故の衝撃で、韓国よりも技術が進んでいるドイツは2022年までに、スイスも34年までに原発を全て閉鎖すると宣言し、原発に替わる新しいエネルギー源の研究開発に国家の総力を上げて取り組んでいる。
日本も原発54基のうち52基が運転を停止しており、来月までには残りの2基も定期点検のため稼働を中断する予定で、全ての原発が停止した状態を迎える。
これは、現在の状況では原発の安全性を確信できないからだ。
韓国政府は福島の事故以降、原発21基に対する緊急点検を行った。
昨年7月にはIAEA(国際原子力機関)専門家チ-ムによる安全点検も実施した。
また、古里原発(釜山)の海岸防護壁を高くしたほか、地震発生時に原子炉が自動停止するシステムを設置し、非常発電設備を増やすなど、46種の短期的、中期的対策を進めてきた。
昨年10月には大統領直属の原子力安全委員会も発足した。
しかし、委員長は原子力産業の振興に生涯をささげてきた人物で、その後、委員会が現在の原発の状況に対する検査や規制基準をさらに強化したという話も出ていない。
このような中で、国民の原発への不信感は膨らんだのかしぼんだのか分からない状況だ。
IAEAが新たに打ち出した目標では、
1...原子炉の燃料が溶けるメルトダウン(炉心溶融)は、原発を1万年稼働した場合に1回、
2...原子炉格納容器の破壊により放射性物質が大量に放出される重大災害は、10万年稼働した場合に1回
発生するレベルにまで原発の安全性をさらに高めるとしている。
しかし、1956年に原発が稼働を開始して以来、スリーマイル島(1979年)とチェルノブイリ(1986年)の原発で各1基、今回の福島第一原発で原子炉3基の炉心溶融事故が発生した。
このうちスリーマイル島を除いた4回は、放射性物質の大量流出という大惨事をもたらした。
IAEAが目標とする3‐28倍もの炉心溶融や放射性物質の大量流出事故が発生したことになる。
こうした現実を踏まえ、韓国も安心できる状況ではない。
韓国の電力事情は、酷暑期、酷寒期の区別なく、何かにつけて電力不足に陥っている。
これには、電力需要に対する長期予測がずさんなことや、火力発電であれ、水力発電であれ、区別なく建設反対を訴える環境団体や地域住民の激しい闘争に阻まれ、発電所建設が難しいという背景がある。
韓国の昨年の1人当たりの年間電力消費量は9510キロワット時で、韓国より所得がはるかに高い日本(8110キロワット時)やドイツ(7108キロワット時)よりも多い。
家庭の電気料金は欧州国家の35%、産業用電気は42%という水準だ。
福島の原発事故以降、韓国の産業界も国民も何一つ変わっていないことになる。
このような状況に追い込まれた政府は、
電力の原発依存率を現行基準の31%から2030年までに59%に引き上げる
という従来の計画に沿って昨年末、江原道三陟、慶尚北道ヨンドク郡の2カ所にそれぞれ原発4基を建設するという計画を打ち出した。
政府はさらに、
米国やフランスと共に世界3大原子力大国を目指す
という新たな目標も打ち立てた。
韓国社会の一部ではすでに、原発反対の運動が起きている。
このような状況で万が一小さな事故でも起きた場合、全ての原発と原子力産業は重大な局面を迎えるだろう。
政府と原子力産業界は、原発の安全性に関する国民の信頼を高める画期的な短期、中期、長期的対策を打ち出さなければならない。
われわれは総発電量の31%を原発に依存しており、他国のように脱原発を唱えられる状況ではない。
しかし福島の1年を見守ってきた今、われわれは政府、政界、産業界、学界はもちろんのこと、全国民が共に変わる必要があるということを切実に感じる。
福島の事故を身近で起きた事実として受け止め、韓国のエネルギー構成については「安全でクリーンなエネルギー」を中心とした代案的マスタープランを打ち出し、長期的に段階を踏んで変更を重ねつつ未来に備えるべきだ。
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/03/10 13:13
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/03/10/2012031000607.html
柳井正氏「このままでは日本は没落する」
柳井正・ファーストリテイリング会長インタビュー
「東日本大震災という危機をきっかけとして、政府と企業が大きく変わると期待した。
しかし、1年を過ぎても何も変わっていない。
政府は一体何をしているのか分からない。このままでは日本は没落する」
カジュアル衣料ブランド「ユニクロ」を世界的なブランドに育て上げたファーストリテイリングの柳井正会長(63)は8日、東京都内で本紙の単独インタビューに応じ、
「政治家に危機意識がない。
ばかみたいなことばかりしている」
と不満を漏らした。
経済誌フォーブスが今年の日本の富豪1位に選んだ柳井会長は、社内での英語共用化、国籍を問わない社員採用など、日本企業の革新をリードしている。
早大卒の柳井会長は、山口県の地方都市で父の衣料品店を経営した経験を基に、1984年にユニクロ1号店を出店した。
ファーストリテイリングは現在、年商8200億円、営業利益率14%を超え、日本の代表的な優良企業に数えられる。
柳井会長は自分の人生を「1勝9敗」と振り返るほど、失敗は多かったが、失敗をばねにチャレンジを繰り返したことが成功の秘訣(ひけつ)だと話した。
以下はインタビューの一問一答。
―日本政府の災害復興事業に関する評価は。
「信じられないほど遅くていらいらする。
政府が昨年12月に原発事故収束を宣言したが、現地住民も日本国民も信じなかった。
こんなばかみたいなことがあるだろうか。
原発事故は明らかな事故だ。
事故を起こした東京電力と経済産業省は誰も責任を取らない。
そんな彼らが審査を行い、安全だと言って、原発を再稼働しても誰が信じるか。
安全性を客観的に検証した後で稼働すべきだ」
―危機をきっかけに日本は飛躍できるのか。
「日本が危機をうまく克服し、一段階飛躍することができるという期待もした。
しかし、1年が過ぎても、政府も企業も変わらない。
家電など代表的な企業が海外で稼げずにおり、地震の復興作業も遅れている。
資源がない日本が外で稼げなければ、没落するしかない」
―日本の政治をどう評価するか。
「めちゃくちゃだ。
当面の課題が数多くあるが、やろうとしていない。
こんなばかみたいな政治をしていれば日本は滅ぶ。
政治家はまだ現実を知らず、『日本の富』がこのまま維持されると錯覚している。
選挙だけを考え、日本の未来を心配する政治家はいない。
政治がカネを稼がずに分配だけ考えたのでは、北朝鮮のようになってしまう」
―日本企業が赤字を出す理由は。
「日本企業はリスクにチャレンジしていない。
一国の経済がグローバル経済へと進化し、企業と個人に大きなチャンスが訪れた。
地方都市で衣料品を商っていたユニクロも世界を相手にしている。
しかし、多くの日本企業は過去のままだ。
日本企業が体質を変えれば、十分に競争力がある。
企業の最高経営責任者(CEO)がサラリーマンに転落し、自分のポストだけ守ろうとし、チャレンジをしていない。
全てを変えようとしたサムスンは結局、世界的な企業になったではないか」
―社内で英語共用化を実施した理由は。
「売国だの、日本文化を抹殺しようとしているだのという批判もあった。
しかし、世界を相手にビジネスをするには英語は必須だ。
少子高齢化で日本の衣類産業は斜陽産業だ。
アジアなど世界を攻略すれば成長産業だ。
国籍に関係なく有能な人材を採用しなければ、ユニクロも成長し続けることはできない」
―障害者雇用率(8%)が高い理由は。
「当初は店の業務に支障が生じるかもしれないと考えたこともあった。
しかし、従業員が障害者に配慮し、チームワークが高まり、障害者を雇用した店舗の業務成果が良かった。
1店舗当たり1人を雇用している。
障害者の親から感謝の手紙が届くとやりがいを感じる」
―資本主義危機論についてどう思うか。
「社会主義は成功しただろうか。
資本主義にもさまざまな問題がある。
企業は懸命にカネを稼ぎ、税金を払い、雇用も社会貢献もしなければならない。
資源がない日本や韓国が輸出でカネを稼がなければ終わりだ」
―若者の働き口がないが。
「良い企業ばかりを探す若者にも問題がある。
会社を選ぶのではなく、一生やる仕事を探すべきだ。
日本国内に仕事がないというが、アジアに目を向ければいくらでもある。
日本の若者は韓国よりもハングリー精神が足りず、海外に目を向けないことが心配だ」
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