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外国人が見た大震災
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朝鮮日報 記事入力 : 2012/01/24 09:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/01/24/2012012400128.html
日本が計算した「原子力発電の本当の価格」
昨年3月、福島の原子力発電所で起きた事故の直後に「原子力発電の本当の価格」と題するコラムを書いた。
原発当局は、原子力発電の単価が1キロワット時(kwh)当たり39ウォン(約2.6円)にしかならないと宣伝しているが、
▲使用後の核燃料処理
▲原発の解体撤去
▲事故被害補償
▲立地をめぐる社会的葛藤
―という4点の費用まで含めて計算すると、本当の価格が算出できるという内容だった。
国民が負担する本当の価格が明らかになって初めて、発電源別に未来のエネルギー構成をどう描いていくかという合理的な論議が可能になる。
日本政府が先日、そのような試みを行った。
昨年10月初め、国家戦略室に専門家10人が参加する「コスト等検証委員会」を設け、8回にわたる会議を経て、先月19日に報告書を提出した。
日本は2004年にも発電源別単価を算出したことがあるが、そのときは
▲発電設備の建設費、
▲運営費、
▲燃料費
だけを基に計算していた。
当時の「原子力発電単価は1kwh当たり5.9円」、「石炭火力は5.7円」だった。
今回、検証委員会は
▲追加安全対策費
▲政策経費
▲事故対応費
の3項目を新たに追加した。
追加安全対策費とは、福島で起きた原発事故後、炉心損傷や水素爆発を防ぐための補強設備費用として、原子炉当たり194億円かかった費用を指す。
政策経費とは、立地確保のための地域支援費や技術開発費などで、原子力業界全体で年間3193億円だった。
事故対応費は、事故が起きた原子炉の解体撤去費、汚染土壌の浄化費用、住民避難・再定着費用、営業損害、財産被害、精神的被害などを合計したものだ。
委員会は現在までに確認された費用だけで「5兆8000億円」としている。
今後さらにどの程度増加するかのは予測が難しい。
検証委員会は、これまで隠れていたこのような費用を明らかにした後
「50基の原子炉を抱える日本で、40年という原子炉の寿命が尽きるまでに今回のような大型事故が1度発生する」
という仮定の下、発電単価を算出し直した。
その価格は1kwh当たり
「少なくとも8.9円以上」
となった。
8.9円とは「確認された被害復旧費だけを考えた最低価格」というただし書き付きだ。
2004年に計算された価格に比べ、少なくとも50%上昇している。
検証委員会は、石炭火力にも
「隠れた費用」が含まれていると見ている。
日本は京都議定書に署名し、温室効果ガスの削減義務を持つ。
委員会が欧州連合(EU)の温室効果ガス排出権取引市場の二酸化炭素取引価格を参考に「二酸化炭素削減対策費」を計算したところ、それを含めた
石炭火力発電単価は1kwh当たり9.5-9.7円
だった。
「少なくとも8.9円以上」という原子力と、優劣をつけがたい価格だ。
先日、韓国のエネルギー当局が公開した1kwh当たりの発電単価は原子力が39.7ウォン(約2.7円)、石炭火力は60.8ウォン(約4円)だった。
風力と太陽光はそれぞれ原子力の2.7倍、14.3倍に上るという。
日本が算出した風力の発電単価は原子力と近いか、それよりも2.5倍、太陽光は3-5倍の水準となった。
風力、太陽光は今後、技術発展と大量生産により発電単価が大幅に引き下がる余地がある。
韓国の原発当局は、解体撤去費を1基当たり3251億ウォン(約217億907万円)と想定している。
日本はその3.1倍の680億円と推定している。
韓国は原発設備利用率が91.2%にも達しているが、日本は70%だ。
設備利用率が高いほど、発電単価は低くなる。
設備利用率が高いのはよいが、無理な運転をしていないかと心配になる。
政府は原子力発電の割合を、2010年の34%から30年には59%に引き上げる計画だ。
原子力をはじめ、各発電源別に本当の単価をきちんと算出し、エネルギー構想の全体的な青写真をもう一度見直す必要がある。
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